ウォッシュド?ナチュラル?コーヒーの精製方法で変わる味の違い

ウォッシュド?ナチュラル?コーヒーの精製方法で変わる味の違い

コーヒー豆のパッケージでよく見かける「ウォッシュド」や「ナチュラル」という言葉。なんとなく眺めているだけで、「自分が飲むコーヒーを選ぶ材料にはなっていない」という方も多いのではないでしょうか。

 

ですが、この情報は精製方法の違いであり、手に取ったコーヒー豆の味を予測する重要な「手がかり」になるもの。生産地や焙煎度と同じくらい、しっかりチェックしてほしいポイントなのです。


そこでこの記事では、「ウォッシュド」や「ナチュラル」といった精製方法と、それぞれの味わいの違いについて、わかりやすく解説します。ふたつの違いを知ることで、いまよりもっと自分好みの豆選びができるようになるはずです。


 

精製方法とは、コーヒーのどの工程か

 

■ 精製とは、収穫後の後処理のこと

 

まず、精製とはコーヒー豆をつくる際のどの工程なのかを確認しておきましょう。

 

コーヒー豆は、もともと「コーヒーチェリー」と呼ばれる赤い実の中にある種子です。この実を収穫したあと、果肉や粘り気のある部分を取り除き、乾燥させて生豆(きまめ・なままめ)にしていく一連の工程を「精製」と呼びます。

 

焙煎はそのあとに行われる工程です。つまり、ウォッシュドやナチュラルという表記は「焙煎度」ではなく、収穫後の後処理の方法を示しています。


 

■ コーヒーチェリーと生豆の関係

 

コーヒーチェリーは、外側に皮と果肉があり、その内側に「ミューシレージ」と呼ばれる粘りのある層がついています。さらにその内側に、私たちがコーヒー豆と呼んでいる種子がふたつ並んで入っています。

 

ウォッシュドとナチュラルの違いは、この果肉やミューシレージを「どの段階で取り除くか」「どのくらい残したまま乾燥させるか」によるものです。この違いが、後ほど見ていく味わいの差にもつながっていきます。


 

ウォッシュドとナチュラルの基本的な違い

 

■ ウォッシュドは、すっきりした印象になりやすい

 

ウォッシュド(ウォッシュドプロセス)は、水洗式とも呼ばれる精製方法です。

 

まず、収穫したコーヒーチェリーから、機械などを使って皮や果肉を早い段階で取り除きます。そのあと、水洗と発酵でミューシレージをきれいに落とし、種子だけの状態にしてから乾燥させていきます。

 

この「洗い流す」という工程で、雑味の原因となる果肉の成分が取り除かれるため、すっきりしたクリアな味わいになりやすいのが特徴です。

 

なお、スペシャルティコーヒーでよく使われる「クリーン(雑味がなく透き通った味わい)」という表現は、この精製方法による影響だけでなく、生産段階での丁寧な選別によって欠点豆(カビなどのある不良豆)が徹底的に取り除かれていることで実現します。

 

こうした特徴から、ウォッシュドは「ブラックでさらりと飲みやすい」「食事と合わせても重くなりにくい」と感じる場面も多いでしょう。初めてスペシャルティコーヒーに挑戦するときの入り口として選ばれやすいのも、この澄んだ飲みやすさがあるからです。


 

■ ナチュラルは、果実味や甘さが出やすい

 

ナチュラル(ナチュラルプロセス)は、乾燥式とも呼ばれる精製方法です。

 

収穫したコーヒーチェリーを、皮や果肉をつけたままの状態で広げ、時間をかけて天日干しなどで乾燥させていきます。十分に乾燥させたあとで、皮や果肉、ミューシレージをまとめて除き、生豆を取り出します。

 

果肉やミューシレージに含まれる糖分、そして乾燥中に進むファーメンテーション(発酵)の作用によって、果実由来の華やかな風味や甘さがじわりと豆に蓄えられていきます。

 

その結果、ナチュラルのコーヒーは「フルーティ」「華やか」「甘さが強く感じられる」「ボディに厚みがある」といった印象を持たれやすくなります。個性的な香りや味わいが表現されやすく、「記憶に残るコーヒー」として選ばれることも多い方法です。

 

なお、場合によっては「クセが強い」と表現されていることもありますが、ナチュラルだから必ずそうなるわけではありません。生産者の丁寧な品質管理や、ロースターによる個性を引き出す焙煎設計によって、驚くほどなめらかで飲みやすいバランスに仕上がっている豆もたくさんあります。果実味や甘さがしっかりとありながら、日常の定番として心地よく楽しめるナチュラルも多いと考えてよいでしょう。


 

同じ豆でも、精製で印象が変わる

産地や品種が同じでも、ウォッシュドとナチュラルでは、コーヒーを口にしたときの印象が大きく変わることがあります。たとえば、同じ農園の同じ品種で、ウォッシュドのロットとナチュラルのロットが別々に売り出されることも珍しくありません。

 

 

そうした豆を同じ焙煎度で飲み比べると、酸の出方や香りの広がり方、甘さの余韻などの違いがはっきりと感じられるでしょう。産地だけを見るのではなく、「ウォッシュドかナチュラルか」に注目することで、その豆が持つ風味の方向性を事前に想像しやすくなります。具体的に予想できれば、より豆選びをしやすくなりますね。

 


味のイメージをどうつかむか

 

■ クリーン、明るい、すっきりの意味

 

ウォッシュドの説明には、「クリーン」「明るい」「すっきり」といった言葉がよく使われます。

  • クリーン:雑味が少なく、味わいの輪郭がきれいに揃っている印象
  • 明るい:柑橘やオレンジ、レモンのようなみずみずしい酸味があり、口当たりが軽快な印象
  • すっきり:後味が重く残らず、次のひと口へ自然に進める飲みやすさ

こうした表現は、どれも細かい理屈というより「飲んだときの心地よさ」をまとめたものです。普段から「さっぱりした飲み物が好き」「爽やかな味わいを好む」という方なら、ウォッシュドから広がる世界と相性がよいかもしれません。


 

■ フルーティ、甘い、厚みのあるの意味


ナチュラルについては、「フルーティ」「甘い」「厚みがある」「華やか」といった言葉がよく使われます。

  • フルーティ:ベリーや熟した果物を思わせる香りが立ち、果実のような酸味と甘さが一体となっている印象
  • 甘い:砂糖のような直線的な甘さではなく、果物や蜂蜜のような、豊かな香りと重なる風味
  • 厚みがある:口に含んだときの質感がやや丸く、味わいの層が重なって感じられる印象
  • 華やか:香りの広がりや味の情報量が豊かで、一口ごとに印象が変化していくような楽しさ

これらの言葉も難しく捉える必要はありません。飲んだときの楽しさを短く表現するためのラベルのようなものです。


「今は軽い一杯でリフレッシュしたいか」「ゆっくり香りを深呼吸するように楽しみたいか」といったその日の気分と、精製方法をシンプルに結びつけてみてください。



自分の好みで選ぶならどちらか

 

■ すっきり派はウォッシュドから試しやすい

 

ブラックでさらりと飲める一杯が好きな方や、食事やトーストと一緒にコーヒーを楽しむことが多い方には、ウォッシュドから試してみるのがおすすめです。クリーンで明るい味わいになりやすいため、毎日飲んでもライトに味わえる傾向があります。

 

「スペシャルティコーヒーに興味はあるけれど、まずは飲みやすいものから始めたい」という方にとっても、ウォッシュドは最適な入り口と言えます。



■ 華やかさや甘さが好きならナチュラルも候補に入れてみる

 

香りの強いコーヒーや、果物のようなニュアンスを感じるコーヒーが好きな方には、ナチュラルもぜひ試してみてください。浅めの焙煎と組み合わさることで、ナチュラル特有のフルーティな甘みがよりいっそう鮮やかに感じられることがあります。

 

さまざまな個性のものがありますので、「まずは一度飲んでみて、自分に合うかどうかを確かめてみる」くらいの気持ちで選んでみるのが一番の近道です。



■ 同じタイミングで飲み比べてみるのも楽しい

 

もし可能であれば、ウォッシュドとナチュラルをそれぞれ同じくらいの焙煎度で少しずつ購入し、交互に飲み比べてみてください。同じタイミングで味わうと、酸の質感や、口の中に残る甘さの余韻、アロマの広がり方の違いを、自分の感覚として発見できるようになります。

 

「平日の朝はすっきりとウォッシュド、休日のゆっくりした時間はナチュラル」といったように、ライフスタイルのシーンに合わせて使い分けるのも、とても贅沢で自然な楽しみ方です。



ウォッシュドとナチュラル、自分の好みを知ろう

 

ウォッシュドとナチュラルについてご説明しました。次に豆を選ぶときは、産地や焙煎度とあわせて、この表記にも少しだけ目を向けてみてください。自分好みのコーヒーを見つけ出す手がかりになるかもしれません。オンラインで豆を選ぶときにも、この違いがきっと役に立つはずです。

 

 

■ライター:もも

カフェ店長としての経験を活かし、コーヒーライターとして、10年以上活躍。現在もカフェ業界で働く夫とともにトレンドを追いながら、日々コーヒー談義を重ねている。

 

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