サイフォンって、実際おいしく淹れられるの?仕組みと淹れ方のコツ

サイフォンって、実際おいしく淹れられるの?仕組みと淹れ方のコツ

喫茶店で見かける「サイフォン」。ガラスの器具の中でお湯が上下する姿が印象的ですね。サイフォンは、粉とお湯が触れる時間を管理しやすく、毎回同じ条件で抽出しやすい器具です。


基本の手順を確認し、熱源やガラス器具を安全に扱えば、家庭でも楽しめます。この記事では、サイフォンの仕組みや味わい、購入前に確認したいポイント、基本の淹れ方と手入れを紹介します。



サイフォンは、湯に粉を浸してからろ過する抽出方法

サイフォンは、簡単に言えば「お湯にコーヒー粉を浸し、その後にフィルターでろ過する器具」です。粉を一定時間湯に浸して抽出するため、コーヒーの抽出方法では「浸漬式」に分類されます。


サイフォン


後ほど詳しい使い方をご説明しますが、具体的な流れは次の通りです。

  1. フラスコ内の水を加熱すると、発生した蒸気によって内部の圧力が高まる
  2. 湯がロートへ押し上げられる
  3. 湯が上部へ移動したら、ロート内でコーヒー粉と合わせる
  4. 抽出時間を終えて加熱を止めると、フラスコ内の温度と圧力が下がり、抽出液がフィルターを通って下へ戻る
  5. コーヒー粉はろ過器に残り、フラスコには抽出されたコーヒーだけがたまる


ハンドドリップでは、粉に湯を注ぎながら液体をフィルターへ通します。一方、サイフォンでは、ロート内で湯と粉を合わせ、一定時間浸した後にフィルターでろ過します。抽出中に粉と湯が触れる時間を決めやすい点が、サイフォンの特徴です。



サイフォンで淹れると、どんな味になる?

ここまでご説明したとおり、サイフォンは自分自身で抽出条件を整えやすいため、「自分の好みを探しやすい器具」とも言えます。


サイフォンでコーヒーを抽出している様子


とくに布フィルターを使う場合は、紙ではなく布を通してろ過します。粉っぽさを抑えつつ、コーヒーの質感も残したいときに選ばれるものです。


サイフォンの味を知りたいときは、普段飲んでいる豆を使うのがおすすめ。器具を変えたことで、香りや余韻、口当たりがどう変わるかを比べると、違いをつかみやすくなります。



サイフォンでコーヒーを淹れるときに必要なもの

サイフォンは本体だけでなく、フィルターや熱源、撹拌用の道具を使って抽出します。セット内容は製品によって異なるため、購入前にフィルターの種類、熱源の有無、燃料や替え部品が別売りかを確認しておきましょう。


サイフォン


・サイフォン本体

下部のフラスコ、上部のロート、スタンドで構成される抽出器具です。容量や対応する熱源、フィルターの種類は製品ごとに異なります。


・ろ過器とフィルター

コーヒー粉と抽出液を分けるために使います。代表的なのは布フィルターですが、製品によってはペーパーフィルターやステンレス製フィルターを使えるものもあります。


・熱源

フラスコ内の湯を温めるために必要です。アルコールランプやガスバーナーを使うタイプのほか、電気式サイフォンもあります。本体に熱源が付属するか、別途用意する必要があるかを確認してください。


・燃料用アルコール

アルコールランプを使う場合に必要です。ランプがセットに含まれていても、燃料は別売りの場合があります。


・コーヒー豆、またはコーヒー粉

サイフォンでは、中挽き程度の粉から始めると扱いやすいでしょう。最初は、購入した豆や器具に記載された分量・挽き目の目安を参考にします。


・水

フラスコに入れる湯のもとです。淹れたい量に合わせて用意します。水から加熱してもよいですが、あらかじめ湯を使うと加熱時間を短くできます。


・計量スプーンまたはスケール

コーヒー粉の量をそろえるために使います。毎回同じ量を量れると、抽出時間や味の違いを確かめやすくなります。


・竹べら、または撹拌用のスプーン

ロートに上がった湯とコーヒー粉を軽く混ぜるために使います。サイフォン用の竹べらや計量スプーンが付属する製品もあります。


・タイマー

粉と湯を浸す時間をそろえるために使います。スマートフォンのタイマーでも十分です。


・コーヒーカップまたはサーバー

抽出後、フラスコからコーヒーを注ぐために用意します。フラスコは熱くなるため、安定して置ける場所も確保しておきましょう。


以下は、「あると便利なもの」です。


・替えのフィルター

布フィルターやペーパーフィルターは消耗品です。購入時に、対応する替えフィルターを入手しやすいかも確認しておくと安心です。


・フィルター用の保管容器

布フィルターを使う場合、洗浄後の保管に使います。具体的な管理方法は製品の取扱説明書に従いましょう。


・キッチンクロスやミトン

抽出後の器具は熱くなるため、片付けや移動の際にあると扱いやすくなります。



家庭用サイフォンの選び方

家庭用サイフォンは、見た目が似ていても、容量、熱源、フィルターの種類によって使い勝手が変わります。購入前には、何人分を淹れたいか、火を使える環境か、日々どの程度手入れできそうかを考えておきましょう。


家庭用サイフォンのイメージ


容量は「一度に何人で飲むか」から考える

サイフォンには、何杯用か、実用容量が何mLかといった表記があります。一人で飲むことが多いのか、二人分をまとめて淹れたいのか、来客時にも使いたいのかによって、向く容量は異なります。


たとえば、HARIOの電気式サイフォンには、実用容量360mL・3杯用の製品があります。カップの大きさや注ぐ量によって実際の杯数は変わるため、「何杯用」という表記だけでなく、mL表示も確認すると選びやすくなります。日常で最も多い人数を基準に選びましょう。


熱源は、使う場所と火の扱いやすさで決める

サイフォンには、フラスコ内の湯を加熱するための熱源が必要です。製品によって、アルコールランプやガスバーナーを使うもの、電気で加熱するものがあります。


火を使うタイプは、抽出の様子を見ながら火力を調整する時間も楽しめます。ただし、安定した場所に置けるか、火気を扱える環境か、燃料を保管できるかを事前に確認してください。ガスバーナーとアルコールランプの両方に対応する製品もあります。


火を使うことに不安がある場合は、電気式も考えてみましょう。電気式には、火を使わず、温調ダイヤルで加熱具合を調整できる製品があります。設置スペース、コードの長さ、消費電力、価格なども商品ページで確認しましょう。


フィルターは、味の好みと手入れの続けやすさで選ぶ

サイフォンでは、布フィルターを使う製品が一般的です。抽出後は洗浄と保管が必要になりますが、繰り返し使えること、サイフォンらしい抽出を楽しめることが魅力です。


一方で、布フィルターのお手入れを続けられるか不安に思う方もいるでしょう。製品によっては、ペーパーフィルターを使うタイプや、布とステンレス製フィルターが付属するタイプもあります。フィルターの素材によって扱い方や飲み口は異なるため、使う頻度と手入れのしやすさで選ぶのが基本です。


毎日使うなら、洗浄や交換を無理なく続けやすい方式を選びましょう。休日にゆっくり淹れるための器具なら、布フィルターの手入れも含めて楽しめるかを考えるとよいでしょう。



基本の淹れ方は「沸かす・浸す・戻す」の3段階

基本の流れは、「沸かす・浸す・戻す」です。細かなセット方法や熱源の扱いは製品によって異なるため、初めて使うときは取扱説明書を確認してください。


サイフォンでコーヒーを淹れる手順


1. フラスコの湯を温め、フィルターをセットする

フラスコに淹れたい量の水、またはあらかじめ沸かした湯を入れ、加熱を始めます。湯を使うと、加熱にかかる時間を短くできます。


ロートには、ろ過器とフィルターを正しくセットします。布フィルターの場合は、ろ過器がずれないように固定できているかを確認しましょう。器具は平らで安定した場所に置き、周囲に燃えやすいものを置かないことも大切です。


2. 湯が上がったら粉を入れ、時間を決めて浸す

フラスコ内の湯がロートへ上がったら、コーヒー粉を加えます。粉全体に湯がなじむよう、竹べらやスプーンで軽く混ぜましょう。


ここでは、強く何度も混ぜるよりも、粉量、湯量、抽出時間を毎回おおむねそろえることが大切です。サイフォンでは、粉と湯が触れる時間が味に関わります。最初は、器具の説明書や豆の案内にある時間を目安にしてください。


3. 加熱を止め、コーヒーが戻るのを待つ

決めた抽出時間が過ぎたら、加熱を止めます。火を使うタイプでは熱源を外し、電気式では取扱説明書に従って加熱を止めてください。


フラスコ内の温度と圧力が下がると、ロート内のコーヒーがフィルターを通り、下のフラスコへ戻ってきます。液体が戻る様子はサイフォンならではの工程ですが、あわてて器具を動かす必要はありません。抽出が終わるまで待ちましょう。


コーヒーがフラスコへ戻ったら、安定した場所に置いてカップへ注ぎます。ガラス部分は熱くなっているため、持ち手やスタンドの扱いは製品の案内に従ってください。

 


使った後のお手入れ

サイフォンを使った後は、ガラス部分とフィルターを分けて手入れします。抽出直後は器具が熱くなっているため、まずは十分に冷ますことが大切です。


ガラス部分は、十分に冷ましてから洗う

抽出直後のフラスコやロートは熱くなっています。すぐに水をかけたり、急いで分解したりせず、十分に冷ましてから手入れを始めましょう。


冷めたら、ロートに残ったコーヒーかすを捨て、フラスコとロートを分けて洗います。洗い方や使える洗剤は製品によって異なるため、取扱説明書の案内を確認することが基本です。


ガラスは透明で状態を確認しやすい一方、衝撃には注意が必要です。洗浄中や乾燥中も、安定した場所に置くようにしましょう。


布フィルターは、洗浄と保管をセットで考える

布フィルターを使った後は、コーヒーかすを落とし、水洗いして清潔に保ちます。フィルターはコーヒーに直接触れる部品なので、洗った後の保管方法も含めて、使用する製品の案内に従ってください。においや汚れが落ちにくくなったときに備え、対応する替えフィルターを用意できるかも確認しておくと安心です。



お部屋にあるだけで心が躍る器具のひとつ

サイフォンは「プロっぽさ」を感じさせる器具ですが、基本の手順と扱い方を確認すれば、ご家庭でも十分に楽しめます。


サイフォンで淹れたコーヒーを飲む


ガラスの器具が並ぶ姿も、サイフォンならではの魅力です。コーヒーを淹れるための器具には、使わない時間にも眺めたくなるものがあります。サイフォンも、その代表的なひとつといえるでしょう。興味があれば、まずは自分の暮らしに合う一台を探してみてください。



■ライター:もも

カフェ店長としての経験を活かし、コーヒーライターとして、10年以上活躍。現在もカフェ業界で働く夫とともにトレンドを追いながら、日々コーヒー談義を重ねている。


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