夏のアイスコーヒーに合う豆の選び方|スペシャルティならではの風味をいかすコツ
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夏になると、ホットよりアイスコーヒーを飲みたくなる日も増えてきます。いつもと同じ豆を多めに挽いて、氷を入れたグラスにそのまま落としている、という方も多いかもしれません。
それでも十分おいしく飲めますが、せっかくスペシャルティコーヒーを飲むなら「アイスでおいしくなる豆の選び方」を少しだけ意識してみるのもおすすめです。同じ豆でも、ホットとアイスでは「香り」「甘み」「酸味」「苦味」の感じ方が変わるからです。
この記事では、いつもの好みをベースにしながら、アイスでもより楽しめる豆を選ぶための考え方を、焙煎度・風味・ボディ・コンディションの4つの軸から整理していきます。
アイス用の豆は、ホットと同じでいいの?
夏のあいだ、ホット用に買っている豆でアイスコーヒーを淹れている、という方は少なくありません。ドリッパーにいつもと同じ量の粉をセットしてお湯を落とし、氷を入れたグラスやサーバーにそのまま注ぐ……この方法でも、日常の一杯としては十分だったりします。
ただ、同じ豆を使っていても「ホットではちょうどよかった甘みや香りが、アイスにすると物足りない」「酸味や苦味だけが目立つ」と感じたことはないでしょうか。
これは、温度が下がり、氷が加わることで、「香り」「甘み」「酸味」「苦味」のバランスの感じ方が変化しているからです。
コーヒーは温度が高いほど香りと甘みを感じやすく、温度が下がるとそれらは穏やかに感じられるようになります。一方で、酸味や苦味の印象は相対的に変わりやすく、同じ豆でもホットとアイスで表情が変わります。
そのため、「アイス専用の豆」でなくても楽しめますが、夏に飲みやすい「アイス向き」の豆を意識して選ぶと、仕上がりがぐっと安定しやすくなるのです。
アイスに向きやすい焙煎度の考え方
一般的には、中深煎り〜深煎りのしっかりとした焙煎がアイス向きと紹介されがちですが、スペシャルティコーヒーの世界では「浅煎り寄りの豆でも、焙煎度と風味のバランスを整えることで夏に飲みやすい一杯を淹れることができる」という考え方があります。
アイスコーヒー用には「浅煎り寄りの中煎り〜中深煎り」がおすすめ
まず、浅煎りと深煎り、それぞれに出やすい特徴を見てみましょう。
浅煎り寄りの豆をそのままアイスにすると、「さわやかな酸味」と「酸っぱいだけ」の境目が分かりづらくなることがある、という特徴があります。ホットでは心地よかった明るさが、冷たさと相まって、少し尖って感じられてしまうことがあるからです。
もし浅煎りの豆でアイスに挑戦する場合は、お湯の温度を少し高め(90℃以上)に設定してみると、酸味が尖らずに甘みが引き立ちやすくなります。
参考:『薄くない急冷式アイスコーヒーの淹れ方。スペシャルティコーヒーで夏を楽しむ』
逆に、かなり深煎りまで進めた豆では、氷で薄まったときに「香りよりも苦味や香ばしさだけが残る」と感じられることがあります。
こうした特徴をふまえると、LEOでは「浅煎り寄りの中煎り〜中深煎り」くらいの焙煎度を、アイスで飲みやすい範囲のひとつとしてご提案したいと思います。このあたりなら、フルーティさや明るさを残しつつ、甘みやコクも感じやすく、バランスよく楽しみやすい範囲と言えるからです。
まずは普段から飲んでいるコーヒーの焙煎度を基準に
すでに自宅でよく飲んでいる豆があるなら、それを基準に考えると選びやすくなります。
普段「中煎りでバランスがよい」と書かれた豆を選んでいるなら、同じ系統の中で「中煎り〜中深煎り」「しっかりめ」「コクがある」といった表現が付いたロットを、夏のアイス用の候補にしてみてください。
そんなふうに「いつものホット用の豆を、アイス向きに少しだけ寄せてみる」という小さな変化だけでも、印象は意外と変わります。
風味とボディから考える、夏に飲みやすいスペシャルティ
焙煎度にくわえて、風味(フレーバー)とボディ(質感)も、アイスにしたときの印象を左右する大事な要素です。袋に書かれている「フレーバーノート」や、「軽い」「ジューシー」「しっかり」といったボディの説明を、アイスでの飲み方と結びつけてみましょう。
フレーバーの選び方|ブラックのとき・ミルクと合わせるとき
コーヒーの飲み方にはとてもたくさんのアレンジがありますが、ここでは「超基本」と言えるブラックと、ミルクと合わせる飲み方の2つで考えてみましょう。
■ブラックでさっぱり飲みたい:柑橘・ベリー・紅茶
ブラックでさっぱり飲みたい日は、「柑橘・ベリー・紅茶」といった言葉がフレーバーノートに書かれている豆を中心に、焙煎度は「浅煎り寄りの中煎り」あたりから選んでみましょう。
こうした明るく爽やかなフレーバーは、冷たい状態でも軽やかさが出やすく、ブラックのアイスコーヒーと相性がよい傾向があります。氷で少し薄まっても、「すっきりとした酸味」「後味の軽さ」として感じられやすいのが特徴です。
■ミルクと合わせて飲みたい:チョコレート・キャラメル・ナッツ
アイスラテやカフェオレとして楽しみたいときは、豆側にある程度の甘さやコクがあると、冷たいミルクにも負けにくくなります。ミルクと合わせたときに存在感を保ちやすい、「チョコレート・キャラメル・ナッツ」などのフレーバーを持つ豆がおすすめです。
焙煎度は少し深め寄りのほうが相性がよいことも多く、「アイスラテ向き」として紹介されることもあります。
ボディは「しっかりめ」と表現されるものを
アイスでは氷が加わるぶん、ボディが軽すぎると「少し水っぽい」と感じることもあります。ホットで飲んで「ややジューシー」「少ししっかりめ」と感じるボディの豆は、アイスにしても風味が残りやすく、ミルクと合わせたときにも頼りになる存在です。
このように、「ブラックで軽く飲むため」「ミルクと一緒にじっくり飲むため」などまで決めてから、フレーバーノートとボディの説明を見てみると、同じラインナップでも選び方の幅がぐっと広がります。
豆のコンディションと鮮度が、アイスの印象を左右する
同じ銘柄・同じ焙煎度の豆でも、「いつ・どんな状態で飲むか」によって、味わいの印象は変わります。とくにアイスコーヒーはホットよりも香りを感じにくく、そのぶん豆のコンディションの違いが仕上がりに表れやすい側面があります。
理由のひとつが、豆に残る「ガス」です。焙煎直後の豆はガスが多く残っており、とくにお湯の量が限られるアイス用の抽出では、粉の中までお湯が十分に入りにくく、味が乗りにくくなることがあります。
そのため、アイスコーヒーの場合には「いつも以上にゆっくり時間をかけて、少ない湯量で成分を出し切る」ことが推奨されています。いつもより少しだけゆっくりとお湯を落とすイメージで、じっくりと成分を引き出すのがポイント。「氷が溶けるのを防ぐために手早く抽出する」という誤解も多いので、注意してください。
逆に、焙煎から時間が経ちすぎると、ガスとともに香りも抜けてしまい、急冷しても閉じ込めたいアロマや甘みが残りにくくなります。
LEOでは、「焙煎後1週間以内発送」を基本としつつ、急冷式のアイスコーヒーについては、焙煎から10日〜2週間ほど経ったタイミングを飲み頃のひとつと考えています。焙煎直後よりもガスの影響が落ち着き、かといって劣化しきっていない状態を目指して焙煎とお届けのタイミングを考えています。
もちろん、豆の種類や保存環境によって最適なタイミングは前後しますが、「届いたらすぐ飲む」「少し日をおいてから飲む」を意識するだけでも、アイスでの楽しみ方は変わってきます。
保存方法については、光・湿気・空気から遠ざけることが基本です。常温・冷蔵・冷凍それぞれのポイントについては、LEOのコラム記事で詳しく紹介していますので、あわせて読んでみてください。
参考:『コーヒーのご自宅での保存方法|届いた後もおいしさをキープ』
LEOの豆で考える、夏に試したいコース選び
LEOの好み別コースや、定期的に変わるラインナップは、「ずっと同じ設定のまま」でももちろん楽しめます。
一方で、毎月コース内容を変更することができるため、この仕組みを利用して、季節ごとに少しずつ方向性を変える楽しみ方もあります。
たとえば、普段は「バランス」コースを選んでいる方は、夏の間だけ「深煎り」コースに変えてみるだけでも、アイスコーヒーの仕上がりに違いを感じられるかなと思います。
LEOでは、Qグレーダーの資格を持つ担当者が、素材そのもののポテンシャルを丁寧に見極め、厳格な基準で選定を行っています。どのコースを選んでも、ベースとなるクオリティは一定以上に保たれているので、「焙煎度」「風味」「ボディ」「コンディション」の4つの軸を、夏のアイス用を意識して選んでみてください。
「この豆なら絶対に正解」という一つの答えを探すよりも、「この夏はこういう方向で試してみよう」と、自分なりのテーマを決めて選ぶほうが、スペシャルティコーヒーらしい楽しみ方かもしれません。みなさまが「自分にとっての夏の一杯」を見つける時間を楽しむきっかけになれば嬉しいです。

■ライター:もも
カフェ店長としての経験を活かし、コーヒーライターとして、10年以上活躍。現在もカフェ業界で働く夫とともにトレンドを追いながら、日々コーヒー談義を重ねている。