コーヒーから花のような香りがするのはなぜ?香りが生まれる仕組みを解説

コーヒーから花のような香りがするのはなぜ?香りが生まれる仕組みを解説

コーヒー豆の商品説明で、「ジャスミン」「バラ」といった言葉を見かけたことはありませんか? コーヒーの香りを表現する言葉として登場するものですが、「少し想像しにくい」と思う人もいるかもしれません。

 

ですが実際、香料などを加えていないコーヒーにも、花を思わせる香りがあります。コーヒーと花、まるで違うもののはずなのに、どうしてそういったことが起きるのでしょうか。今回は、その香りが生まれる不思議な仕組みと、豆の性質や精製、焙煎との関係、日常での楽しみ方を紹介します。

 

 

コーヒーの「花のような香り」とは?

 

ジャスミンやバラを思わせる「フローラル」

 

花を思わせる香りは、コーヒーの世界で「フローラル」と表現されます。生花を思わせる、甘く軽やかな香りを指す言葉です。コーヒーの香味を整理したWorld Coffee Researchの香味辞典にも、フローラルやローズ、ジャスミンといった項目が設けられています。

 

たとえば、花にも「この花はやわらかな甘い花の香りが強い」、「この花の香りは爽やかですっきりしている」などの違いがあります。ひとことでフローラルと言っても、感じられる香りは一様ではありません。そういった「幅」が存在する花の名前をコーヒーにも使うことで、それぞれの特徴をより具体的に表せるのです。

 

シンプルに、「コーヒーの香りを身近なもので例えている」と考えると簡単ですが、では、どうしてコーヒー豆とはかけ離れているように思う「花」の香りがするのでしょうか。

 

 

コーヒーから花のような香りがするのはなぜ?

 

コーヒーにも花を思わせる香りの成分がある

 

私たちが香りとして感じているのは、空気中に広がり、鼻に届く成分です。コーヒーにも、花を思わせる香りに関係する成分が含まれています。それらは人工的な香料ではなく、コーヒー豆が育つ過程や焙煎の化学反応の中で自然に生まれるものです。

 

その代表的な一つが「リナロール」。コーヒー由来の香気成分で、フローラルな香りに関わります。

 

つまり、花とコーヒーは見た目も用途も違いますが、香りに関係する成分には共通するものがある、ということです。そのため、コーヒーを飲んでいるのに、花を連想するような香りを感じるのです。

 

 

さまざまな成分が重なって、一杯の香りになる

 

実際、コーヒーの香りは一つの成分だけで成り立っているわけではありません。花や果実を思わせる香り、香ばしい香りなどに関わるさまざまな成分が、異なる量で存在しています。私たちは、その「重なり」をコーヒーの香りとして受け取っています。

 

同じ成分が含まれていても、その量や、ほかの成分とのバランスによって感じられる香りは変わります。「この成分があるから、必ずこの花の香りになる」と単純に決められないのは、そのためです。

 

 

花のような香りを左右する、豆の性質と製造工程

花のような香りには、豆の品種や育つ環境、収穫後の精製、焙煎が関わっています。それぞれの役割を見ていきましょう。

 

 

コーヒーの香りは、品種や、日照・気温などの栽培環境によって変わります。同じ国の豆でも香りは異なるため、産地名だけでなく、個々の豆の特徴に目を向けることが大切です。

 

収穫した果実から生豆に仕上げる工程を「精製」と呼びます。果実のまま乾燥させる「ナチュラル」や、果肉を取り除いて処理を進める「ウォッシュド」などがありますが、これらの発酵や乾燥の進め方によっても香りは変わります。「ウォッシュドなら花の香りがする」と均一に決まるものではないのですが、それぞれの仕上がりに影響を与える一因になるのです。

 

さらに、焙煎ではもともとあった香りのバランスが変わってきます。加熱によって新たな香りの成分が生まれる一方で、もともとあった成分が変化したり、減少したりするのです。焙煎が進んで香ばしさが強まると、花のような香りが目立ちにくくなることもあります。

 

このように、段階を経てさまざまな要因が関わり、最終的な香りを成り立たせていきます。そのため、「まったく同じ香りに仕上がる」ということはほとんどないと言っていいでしょう。同じ豆なら特徴としては似たものになりますが、作り手によって差が出るのはそのためです。

 

 

花のような香りのコーヒーを選び、楽しむには

 

商品説明の「フローラル」「ジャスミン」を手がかりに

 

花のような香りを試したいときは、まず商品の香味の説明に注目してみてください。そして「フローラル」「ジャスミン」「ローズ」などの言葉を探し出してみましょう。なんとなく見ているときは目に付きにくかったかもしれませんが、意外によく使われている表現です。

 

さらに酸味や苦味についての説明も一緒に読むと、香りだけでなく、味わいも好みに近い豆を選びやすくなります。

 

 

まずはブラックで、いつものコーヒーと比べてみる

 

最初の一杯は、ミルクや砂糖を加えず、ブラックで飲んでみましょう。いつもの器具と手順で淹れ、飲む前にカップから立ち上る香りを確かめてみてください。

 

飲み慣れたコーヒーと並べて比べるのもいいでしょう。器具や淹れ方をそろえたうえで、「どちらが香ばしく感じるか」「甘い花を連想する香りはあるか」と、違いを探してみます。

 

そして、ちょっとした感想をメモしておくのはいかがでしょうか。ひと言で十分です。「いつもの豆より軽やか」「飲んだあとに甘い香りを感じる」など、気づいたことを残しておくと、次に豆を選ぶ際の参考になります。

 

 

花の名前を当てるより、自分が感じた違いを楽しむ

 

ジャスミンやバラという名前が、すぐに思い浮かばなくてもかまいません。日常でその花を嗅ぐ機会が少なければ、比べる対象を思い出すこと自体が難しいもの。商品説明と同じ言葉を探すより、自分にはどう感じられるかを大切にしたいところです。

 

 

LEOのコーヒーの商品説明にも、花の名前を使った香りの表現が登場します。気になる豆がお手元に届いたら、いつものコーヒーと比べながら、その違いをゆっくり確かめてみませんか?

 

 

■ライター:もも

カフェ店長としての経験を活かし、コーヒーライターとして、10年以上活躍。現在もカフェ業界で働く夫とともにトレンドを追いながら、日々コーヒー談義を重ねている。


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