コーヒー豆の産地別・味の違いと選び方 ─ 自分の好みはどこにある?

コーヒー豆の産地別・味の違いと選び方 ─ 自分の好みはどこにある?

コーヒーは実にさまざまな地域で生産されている飲み物です。自宅でコーヒー豆を選んで淹れるとき、産地ごとの味わいの傾向を知っていると、より自分の好みに近い豆をスムーズに見つけられるようになります。 コーヒー豆の個性は、その豆が育った地域の気候や標高、精選方法いった要素によって大きく形作られているからです。

 

この記事では、産地ごとの大まかな味わいの特徴や、その個性を引き出す淹れ方のヒントをご紹介します。届いた豆のキャラクターを想像しながら、おうちでのコーヒー選びをより楽しむための参考にしてみてください。

 

 

コーヒーの味わいを決める、産地の「気候と標高」

コーヒー豆のパッケージに書かれた国名や地域名を見るだけで、そのコーヒーがどんな風味を持っているか、大まかに想像できるようになると豆選びがぐっと楽になります。産地によって味が変わる最大の要素は、「コーヒーの木が育つ環境の違い」にあります。

 

 

コーヒーの味わいに最も大きな影響を与える環境要因が、「標高」と「気候」です。

 

一般的に、標高が高い地域(おおむね1,500メートル以上)で栽培されたコーヒー豆は、昼夜の寒暖差が大きく、実がじっくりと時間をかけて熟します。

 

昼夜の寒暖差の大きさは、とても重要な要素。なぜなら、昼間は気温が上がることで光合成が進み糖分がたくさんつくられますが、夜は気温が下がることで成長のスピードが抑えられ、つくられた糖分や有機酸があまり消費されずに実の中に蓄積されていく、という自然のしくみができているからです。


こうして時間をかけてゆっくりと成熟した豆には、豊かな糖分や有機酸がぎゅっと詰まり、複雑で洗練された酸味や華やかな香りが生まれやすくなるのです。

 

一方で、雨量や日照量が豊かで温暖な地域では、みずみずしく豊かな果実味が育まれる傾向があります。

 

こうした気候や標高だけに留まらず、土壌の性質や、畑の傾斜・霧の出方といった細かな気象条件までを含めた「その土地ならではの風土」は、「テロワール」とも呼ばれているもの。
コーヒーがどんな香りや酸味、甘みを持つかを決める、大切な土台となっている考え方です。

 

LEO SPECIALTY COFFEEでは、こうした産地ならではの個性が雑味なくきれいに表現されている生豆を、Qグレーダーと呼ばれる品質評価のプロの目を通じて厳選しています。

 

 

【好みの味から見つける】産地エリアごとの大まかな傾向

 

世界中で栽培されているコーヒーは、生産される大きなエリア(大陸)ごとに、ある程度共通した味わいのキャラクターを持つ傾向があります。

 

 

世界地図にアフリカ・中南米・アジアのコーヒー産地と味わいの傾向を示したイラスト

 

 

ただし、同じエリアでも、国や地域によって個性は大きく変わります。他との細かな比較にとらわれる必要はありません。まずはご自身が「どんな味を求めているか」という好みから逆引きして、大まかな傾向を捉えてみましょう。

 

 

■フルーティで華やかな味が好きなら:アフリカ系

 

エチオピアやケニアなどに代表されるアフリカ系の豆は、高標高の地域が多く、まるでフルーツティーや花のような明るい香りとみずみずしい酸味が特徴です。

 

また、同じアフリカでも、エチオピアはフルーツティーのように華やか、ケニアはベリーや黒すぐりを思わせる力強い酸味、といった違いもあります。

 

柑橘類やベリーを思わせる鮮やかな特性のものが多いため、すっきりとした爽やかさや、甘酸っぱいフレーバーを楽しみたいときに向いています。

 

 

■酸味と苦味のバランス、マイルドな質感を求めるなら:中南米系

 

ブラジルやコロンビア、グアテマラなどの中南米系は、味わいのバランスが非常によく、毎日飲んでも飽きにくいマイルドな質感が特徴です。

 

例えばブラジルはナッツやチョコレートのような甘みとやわらかなコク、コロンビアやグアテマラは、そこにほんのりと明るい酸味や果実感が加わった印象のものが多いです。

 

全体として、キャラメルのような優しい甘みと安心感のあるコクを楽しむことができます。特にコロンビアの豆などは、ホットで飲むと豊かなコクが感じられますが、アイスコーヒーにするとすっきりとした綺麗な喉越しに変化する一面も持っています。

 

 

■どっしりとした風味や香ばしさを楽しみたいなら:アジア系

 

特にインドネシア・スマトラなどに代表されるアジア・オセアニア系の豆は、独特の湿潤な気候や独自の精選方法によって、ハーブやスパイスを思わせるエキゾチックな風味や、ローストナッツのような香ばしさを持っています。

 

さらに、同じアジア内でもどっしりとした重厚なコクが際立つものから、比較的すっと飲みやすいものまで幅があり、いずれも酸味は控えめで、リッチなボディ感(コク)が前面に出やすいのが特徴です。深みのあるビターな味わいや、しっかりとした飲みごたえを求めるときにおすすめのエリアと言えるでしょう。


 

【産地の個性を引き出す】お湯の温度の小さなコツ

産地ごとの大まかなキャラクターが分かったら、淹れるときの「お湯の温度」にもほんの少しだけ注目してみましょう。スペシャルティコーヒーは、豆の特性(主に焙煎度)に合わせてお湯の温度を調整するだけで、その豆が持つおいしさをさらに綺麗に引き出すことができます。

 

 

抽出温度は産地ごとの豆の硬さやその他の特質によって微調整が必要なこともありますが、実際には「浅煎りか、深煎りか」といった焙煎度合いに大きく左右されます。

 


一般的には、組織が硬く成分が溶け出しにくい浅煎りはやや高めの温度で、苦味成分が出やすい深煎りは少し温度を下げて抽出してあげると、その豆らしい香りや甘みが引き出しやすくなります。

 

 

■アフリカ系などの「浅煎り」は、高めの【90〜94℃】で華やかに

 

フルーツティーのような華やかな香りとみずみずしい酸味を持つアフリカ系に多い浅煎りの豆は、90〜94℃という高めの温度からスタートするのがおすすめです。

 

お湯の温度を高くすることで、豆の硬い組織から果実味あふれる鮮やかなフレーバーと、それを支える心地よい甘みがしっかりと溶け出しやすくなります。

 

 

■中南米・アジア系などの「中煎り〜深煎り」は、【85〜90℃】で豊かな甘みを

 

マイルドな中南米系や、どっしりとしたコクを持つアジア系に多い中煎り〜深煎りの豆は、85〜90℃(特にコクや甘みをしっかり出したいときは88〜90℃前後)の間で淹れるのがよいでしょう。

 

お湯の温度が低すぎると、コーヒーの成分が十分に溶け出さない「抽出不足」という状態になり、薄く感じられたり、本来あるはずの甘みが引き出せなかったりすることがあります。

 

LEOが何より大切にしているのは、雑味のない「クリーンで豊かな甘み」です。その芯のある甘みと安心感のあるコクをバランスよく楽しんでいただくためにも、お湯の温度を落としすぎないことが大切なポイントになります。


 

届いた豆の「産地」を見て、味わいを想像する楽しさを

 

LEO SPECIALTY COFFEEの定期便は、お客さまの好みに合わせた「焙煎度(コース)」でお届けする仕組みになっているため、特定の産地を狙って選べるわけではありません。

 

しかし、手元に届いたコーヒーのパッケージに書かれた「産地」を確認したとき、今回のコラムの内容をぜひ思い出してみてください。

 

「今回はコロンビアだから、マイルドなバランスの中にどんな甘みが隠れているだろう。アイスにしてすっきり飲んでみようか」

「エチオピアが届いたから、お湯の温度を高めにしてフルーツのような香りを引き出してみよう」

 

……といったように、届いた豆の国名から味わいを想像できるようになると、毎日のコーヒータイムに新しい発見の楽しさが加わります。

 

産地ごとの傾向を知ることは、どこが優れていてどこが劣っているかを比べるためではなく、それぞれの豆が持つありのままの個性をフラットに楽しむための道標のようなもの。パッケージに書かれた小さな国名を手がかりにしながら、おうちで淹れる一杯の味わいを、ぜひ自由に、そして豊かに想像してみてくださいね!

 

 

■ライター:もも

カフェ店長としての経験を活かし、コーヒーライターとして、10年以上活躍。現在もカフェ業界で働く夫とともにトレンドを追いながら、日々コーヒー談義を重ねている。

 

ブログに戻る